バセルバジョン+Tit For Tat(町田・ふくや珈琲店)2016年4月3日
「ふくや珈琲店/Kraken/Scarab」という3つの名前を持つ珈琲店/洋服店/雑貨店、「ふくやさん」が呼びやすくてアダ名のように親しめます。
カフェ中野屋から道を一本超えたところにある、ガレージ的な、僕の個人的な記憶を踏まえるとおばあちゃんの営んだ元八百屋でその後大工のおじいちゃんの道具の並んだ田舎の懐かしい家に似た、穏やかな空間のお店です。
ふくやさんでのライブは初めてです。
去年の酉の市のイベントを動かしたのがふくやさんだったそうで、その思い出も込めてお店に向かう前に浄運寺に立ち寄りました。
賑わう町田の街並みから一本入っただけで静かで、満開の桜をゆっくり眺めることができます。
お店に着くと、外にもお客さんが立ち話をして、楽しげな雰囲気です。
入り口で2オーダー用のチケットを購入。初めてのことでなかなか勝手も分からずでしたが、アイスティーを頼んでから、周りを見回すとスティッキーフィンガーズのライブでも見かけたような方がチラホラ。
音楽で街がつながってるんだな…としみじみします。
普段の喫茶スペースが客席になります。基本的に立ち見ですが、どこで座ってもいいし、椅子も少しあるし、階段から見てもいい、演奏中に洋服を見てもいいとのことでした。
洋服販売のスペースにステージが作られています。
名前だけはどこかで聞いたことがあったバセルバジョン、演奏は初めて聴きます。
スライドが特に印象的です。
ふくやさんで普段流れるBGMは、どことなく共通したニュアンスのある音楽で、ジャンルでは統一できないけれど、ふくやさんが選んだという共通項だけで納得できる選曲です。
そしてバセルバジョンの演奏はまさにそのふくやセレクトと呼べる音楽でした。
バンド編成からはカントリーやブルースを連想するけど、その味わいは残しつつのインストバンドです。
ドラムセットもカホン込みとはいえシンプルで、タブラも軽ろやかに響く、高音が多くて、それが浮遊感・高揚感を感じさせてくれることにつながるのかもしれません。
スライドギターが響いたり、タブラの鳴り方によってブルース的な土埃を感じさせる演奏にもなるけれど、例えば「90年代の日本映画で後半の台詞のない回想シーンに使われてる」…と言われても納得してしまいそうな、綺麗な音も聴かせてくれました。
立ち見が続くと腰痛に響くので、演奏が終わってから一旦二階へ。
荷物置いてていいですよと言ってもらえてたけど、ソファや椅子もあって落ち着けます。
雑然としているようでいて不思議な統一感があります。
お知らせのチラシやショップカードが所々に並んでいました。町田ノイズのも!
ふくやさんのシオリは以前から愛用しています。
しばらくしてから演奏が始まる様子が二階にも聞こえてきます。ステージが見えなくても、間近の音でなくても、こんな風に聴くのもいいなと思えました。
階段の途中で立ち止まったり、一階まで降りたりしながら、Tit For Tatのお二人の演奏を楽しみました。
穏やかなのに踊りだしたくなるような、ラピュタに出てきても似合いそうな音楽です。
仲の良さそうなお二人の様子も見ていて嬉しくなります。
2度目のバセルバジョンまで休憩時間です。
機材が並ぶ様子が、演奏経験がない僕には未知の世界の魅力でいっぱいです。
この日限定のお弁当的な特別メニューに、ガチャピンとムック、カレーといくつかありました。
ガチャピンなスパゲティはこちら!
二階に戻ってゆっくり頂きます。1日の中で、いつもは行かない場所と初めての体験と穏やかな時間を体験できるのが、子供の頃田舎で何もせずに過ごしたような気持ちを連想します。
バセルバジョンが始まるのを階段の途中に座って待っていると、ようやく自分なりの居場所と距離感が分かったような気がしました。
前半とは違いスライドはなくギターとハーモニカ。
照明が少し落とされて雰囲気も変わりました。
音楽の波にさらわれるような揺られるような演奏。
最後の演奏かという時に、タブラの方がまさかのバイオリン、そしてタブラを叩きつつの独特のヴォイス表現から解放的なブレイク…とカッコいいとこを見せてくれました。
ふくやさんにCDを置かせてもらえるかの交渉も予定しているとのことでした。
新百合ケ丘のBar Chit Chatでのライブも多いそうです。
外に出ると余韻を楽しむいくつもの会話…
残り香のように漂う音楽が次第に夜空へ昇っていく気がします。
その後ふくやさんの二階がリニューアルしたとのお知らせがありました。
ライブ以外にも不定期でいろんなイベントが行われています。
ランチや珈琲とチーズケーキも。もちろんこだわりの洋服も。