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Jazz meets Blues

手紙のように書きとめる、音楽やライブの記憶、地元のお店の思い出。

タケオ×山下洋輔(鶴川ポプリホール)2016年8月5日

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8月5日、パーカッションやマリンバの新倉壮朗(タケオ)さんと、フリージャズのピアニスト山下洋輔さんとの共演を聴きに鶴川のポプリホールを訪ねました。

町田から2駅のこちらのホールは渡辺貞夫さんも演奏されることのあるしっかりとしたホールです。

www.m-shimin-hall.jp

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開演前には、親子でいらした方のために、演奏の音にお子様が驚かれたような場合などに、一旦音から距離を取ることができる親子室を利用できる旨の案内がありました。

客席の後ろのガラス張りのスペースです。

 

1st.

山下洋輔さんのご挨拶が終わると、タケオさんは真っ直ぐに楽器の前に向かい、拍手の鳴り止む間も無く、マリンバを鳴らしました。

音を楽しみたくてしょうがないという喜びが伝わってきます。
山下洋輔さんのピアノと共に、マリンバの南国的な音色で、段階的に興奮を高めていくような即興でした。

 

つづけての演奏では、シンプルな展開でピアノのためのスペースを譲り、そこにヴォイスを重ねていくことで全体の印象が変化していきました。
どこかで聴いたことがあるような懐かしさと、少しの寂しさを思わせる叙情性。


マリンバから離れるとピアノが奏でられる中、観客席へと手拍子のリズムを求めます。

音が会場に満ちていくのを確かめるように歩きながら、求めるリズムも変えていきます。次第に観客全員が山下洋輔さんの伴奏者となっていることに気付きます。

ここまで観客を引きつけた後にステージに戻ると、座ったのはまさかのピアノの前。観客からの驚きの反応もある中、連弾へと発展します。

繊細で複雑なタケオさんのピアノに、山下洋輔さんはじゃれ合うようにそこにはない音を放り込みます。

高音と低音を分け合いながら早いペースへと変わっていき、オーケストラのような大きな演奏へ。2人で駆け抜けていくような楽しさです、こんなにも自由な演奏は聴いたことがありません。

 

マリンバとの入れ替えで打楽器の準備を挟み、ステージの雰囲気も変わると、まずは山下洋輔さんのソロによる即興を存分に味わいます。

 

タケオさんが戻ると、よく通る高い音のジェンべが鳴らされます。マリンバとピアノを聴いた後の耳には新鮮で、会場全体に広がるジャンべの響きに、ピアノは演奏の質感を整えるように寄り添います。
続けてサバールという丸くて柔らかい音の打楽器も加わります。打楽器の音の大きさに対して、メランコリックなピアノの演奏を主役にしているように感じられます。シンプルなリズムに観客がのめり込めばさらにピアノの繊細さが際立ちます。打楽器が会場を埋め尽くすほど昂まっていく中でピアノは楽しげな音色を奏でていました。

 

2nd.
2ndステージは、ダンスから始まりました。
アヴェマリアの歌声の響く空間で、その音を撫でていくような繊細な舞です。

 

次に、ジャンべ、サバール、ドゥンドゥンといった打楽器が並び、4人のパーカッショニストによる即興が始まりました。音の雨のように降りしきる演奏。
飲み込まれるような感覚の中、観客をステージに上げダンスを促します。
みんなもやるんだよみんなもとばかりに手拍子を求め、時には観客席に回り込み音が鳴り響く様子を味わうタケオさんの姿に、すでに客席もステージなのだと気付かされます。
雨には境目がないのに、どうしてここにはステージと客席の区別があるのか不思議にさえなりました。

演奏が続く中でホールが狭く感じてきます。ポプリホールは整った環境ですが、可能ならば空が見える場所で聴いてみたい…。
演奏に終わりはあるけれど、後半のパーカッションがメインになってからは、曲単位や演目ごとという発想が追いつかずにただただ音に飲み込まれていました。
立ち上がった観客達の手拍子、山下洋輔さんのピアノも加わり、リズムの大合唱へとつながるとついに終演へ。

音はどこまでも伸びていく、世界はもっと広いんだとあの演奏が伝えてくれました。

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