浅川太平+Ayuko (まちライブラリー) 2016年7月3日
町田ノイズ初登場の世田谷トリオの衝撃を受けた翌日、7月3日。
2日続きのライブで体力持つかな?と気になりながら、初めての会場へ。方向音痴なので検索しながら「こっちの駅からバスで、いや本数が少ないのか、でも戻るより、いやバスさっき出たやつだ」と迷いつつ、次のバスを待っていると買ったばかりのクーリッシュがみるみる溶けていく…気が付けばこの気温。
落ち着いた郊外の街並みを超えてバスが辿り着いた会場。地下のスタジオは照明も綺麗で、ayukoさんによく似合う花も飾られていました。
昨年より中々聴くことができなかったayukoさんの歌声と浅川太平さんのピアノを、ついに。
1. Speak Low (クルトワイル作)
アルトサックスのような繊細な空気の振え。久しぶりに聴く声が新たな表現を求めて成長していたことにハッとしました。
2. Here There And Everywhere (Lennon-McCartney作)
前回出演時にお客様にビートルズ好きな方がいらしたとのことでの選曲。
3. Afro Blue (モンゴサンタマリア作)
4. Mack the Knife (クルトワイル作)
ビートルズだけでも満足できそうなところに、アフロブルー、ayukoさんが大きく感じられる表現。つづくマックザナイフは悲恋の映画のようなぎゅっとつかまれるような世界。
ここで浅川太平さんのピアノソロ。皆さんからお題を頂いての即興。
初めに出た話題は「宇宙」「医者」「髪を切る」。SF的な印象の演奏。
続いては「夏の朝」。
感じられるのは真夏の蒸し暑さよりも高原の清々しい早朝、それはもしかしたら浅川さんが札幌出身だからなのかも。後半ayukoさんの即興が入ると、南の風が吹き始めるようで、おふたりの対比の妙。
5. Lost in the Stars (クルトワイル作)
6. Human Nature
悩み抜いて落ちた流れ星を手のひらに受け止めるようでした。
きっとMCをはさまずにヒューマンネイチャーへと続けたことそれ自体がメッセージ、ayukoさんの中でマイケルはどれほど大切な存在なんだろうか。
声という楽器を奏でるayukoさん。浅川太平さんの鍵盤を離れる際の繊細な指先。
ライブに来れずにいた間に気にしていた題材をいくつも聴くことができた1stセットでした。
2ndは日本語の楽曲。Jazz+Japanese=シャズパニーズ。
1. 電話をするよ
UAのシングルB面の曲。大人になりかけの男の子のための子守唄のような、待っていてくれると思える歌。
20代の頃に何度も聴いたことがあったので、まさかこんなふうに再会するとは、という驚きも。
2. クレオパトラの夢
英詞はなく、北原リエの日本語詞のみ存在するとのこと。「あなたはいつもその手口」という言葉が、後半に向けて変化していくサスペンス的な歌詞。
浅川太平さん曰く、歌詞なしのピアノ表現としては「バドパウエルのが答えみたいなものだね」とのこと。
1925年の曲。6つの2行詞で構成された歌詞。
4. You'd Be So Nice Come to Home
日本語も英語もあり、マウストランペットも。
大橋巨泉・作詞。なかの綾さんが唯一日本語詞で歌っているとのこと。
5. 化粧
中島みゆき作詞作曲。
ないものを求め続けてしまう苦しい苦しいブルース。
6. マシュケナダ
一転明るくなり、ホッとしました。
日本語で歌われることで、音楽だけでは届かない奥の奥の方へと言葉が降りていくようで、2ndからはただただ音をこぼさず受け取れるようにと思っていました。
アンコールはリクエストを募り「りんごの木の下で」、途中「Skylark」も。
終演後、まちライブラリーの懇親会にも参加させて頂き、ayukoさん浅川太平さんともお話することができました。
洋服へのこだわりやフラメンコについて。
ステージではあんなにも大きく見えたayukoさんが隣に座ると子猫のように可愛いのが不思議でした。
「まちライブラリー」という存在を存じ上げなかったのだけれど、ぼんやりと求めていたイメージにヒントをもらえたようでした。
市民図書館のような、自発的な文化的拠点としての活動は、僕の地元の町田のように図書館も美術館もある街でも、ひとのつながりや、価値観を単純化させないための何ができるのかと考える時には重要だと思います。
昨年の11月に町田の酉の市で感じたことのその先があるはずだと思えました。
市民図書館のような、自発的な文化的拠点としての活動は、僕の地元の町田のように図書館も美術館もある街でも、ひとのつながりや、価値観を単純化させないための何ができるのかと考える時には重要だと思います。
昨年の11月に町田の酉の市で感じたことのその先があるはずだと思えました。
MiMi/ハンマーダルシマー(ピアノカフェショパン)2016年12月19日
いつからだったか、町田で演奏される方としてTwitterでフォローしていたMiMiさん。
ハンマーダルシマーという不思議な名前の楽器と、繊細な音色と、MiMiさんの美しさに惹かれていたものの、ショパンさんは方向音痴で乗り物酔いの僕には遠く…どうしても演奏を聴きに行く機会には巡り会いませんでした。
ついに今日、喫茶店・町田ノイズのファン仲間のお友達が車で連れて行ってくれました。
緑溢れる坂道の途中に赤いレンガの綺麗な建物が現れます。ショパンの方が表に出てどうぞと迎えて下さいました。
ゆったりとしたソファのある空間で評判の珈琲を頂きました。ホロっとした食感のクッキーも。
MiMiさんはダルシマーの調律をしながら話しかけて下さいました。
演奏はまずはクラシックから。バックトラックのピアノの演奏を流しながら二曲。
繊細な印象はそのままに、ハンマーのアタックの強弱の細やかさや、弦のピッと張った強さも伝わり、トレモロの連続した表現が時に強く駆け上るように、時には優しく引き返すように、ダルシマーならではの表現を聴かせてもらえました。
3曲目に「G線上のアリア」のボサノバ・アレンジが演奏されました。ギターの音色に合わせるとより楽しげな雰囲気に。
4曲目はハープの演奏に合わせた「彼方の光」という曲。ナイロン弦の柔らかい音色と、ダルシマーの対比が魅力的でした。
5曲目は季節に合わせたクリスマスソング。
「ソリ滑り」(アンダーソン作)
客席にベルを鳴らす担当をお任せして、MiMiさんも最後にはホイッスルも使って、楽しく華やかに。
写真は「はいっ」とベルのタイミングを知らせるところ。
後半はジャズピアニストのジムさんとの共演。
2曲目は「Fly Me To The Moon」。
どんな演奏にも個性を生かせるダルシマーに、ジムさんのピアノは朴訥な優しさで寄り添っていました。
3曲目は「枯葉」。
カーテン越しの日差しに枯葉が落とす一瞬の小さな影が過ぎて行く様子も感じられて、寂しげに悲しげに演奏されるジャズとはまた違う、穏やかなショパンの秋と冬そのままの演奏でした。
演奏後も明るく話されるMiMiさん、ジムさんの絵画作品をハガキにしたものも見せて頂けました。
お店の前のあの鍵盤も見ることができて、特別な一日になりました。
世田谷トリオ(町田ノイズ)2016年7月2日
Oncenth Trioやメキシコトリオで町田ノイズに出演された岩見継吾さんが若いミュージシャンと共に「世田谷トリオ」という3人で登場するとのこと。
事前に見ていたピアノの高橋佑成さんの動画は繊細なスタンダードだったので、あの激しい岩見さんも穏やかな演奏をされるのかな?とその変化を楽しみにしていたら…
…
そんなはずがなかった!!
この頃はよく演奏で感じたことを書き留めていたけれど、一言二言書いたりで、というか書いてなんていられない。
ヤベェ!と思った時にはもう音に呑み込まれていた。
「世田谷トリオ」という名前は下北沢アポロでのセッションホストで共演したきっかけで生まれたトリオだからと付けられたらしい。リーダーは存在しない。
感想を書けたらいいけれど言葉も出ない。
もし世田谷トリオに別名を付けてもいいのならきっと一番相応しいのは「Breathless」、息もできない。
以下、写真のみ。