Jazz meets Blues

手紙のように書きとめる、音楽やライブの記憶、地元のお店の思い出。

竹内直+蜂谷真紀 Duo Again! (町田ノイズ)2016年10月23日

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5月以来に竹内直+蜂谷真紀 Duo Liveがついに再演。
 
前座には、10月1日に町田ノイズも会場となった「とっておきの音楽祭」にも出演された「ゆうき&M」。町田ノイズのライブで前座が入るのは、スタッフの方がドラムで演奏したことはあったけれど、今回は思い入れがあってこそ実現した企画なんだろうと思える。
普段の日曜日以上に客席は大混雑だったようで、慌しくもライブ時間に突入し、30分の前座もあっという間。
 
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竹内直さん、蜂谷真紀さんの演奏は、ゆうきさんの空を飛ぶ歌が記憶に残っていたからと。「Blue Sty」からスタート。大きな行き渡るような、打ち破るようなVoice、並走するサックスがやがてソロへ。ピアノが入るとノイズの空気が整う。ライブが始まったと実感する瞬間。
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前半はメモもあやふやで記憶違いが多いかもしれない。蜂谷さんがマイクはいいとピアノから立ち上がり生声で歌うこともあった。大きく空気を震わせて、声という嵐に佇むような…。
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アビーリンカーンの曲では、竹内直さんのフルートに、蜂谷さんは幅広い鍵盤、鳥のさえずり。メロディアスなピアノがフルートの自由な演奏に、次第に次第により自由に羽ばたき、圧倒的な美しさへ。
竹内直さんの息づかい、身体の反応がダイレクトに伝わる。
「君は歌えばいい」という歌詞が歌われたのは、どの曲でだったろう…解放された力強さのような歌声は、ゆうきさんへのメッセージでもあるのか。
曲順は決めずに、次は…とお二人が話ながら並べた譜面から決めていらっしゃる様子も臨場感がある。
この場、この時があってこその演奏。
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前回の白眉だった「キール」も。キールとは古代の船の背骨・竜骨。夢のような音楽。
1stのラストは「Honeysuckle Rose」ゆったりとしているけれど、明るく、会場全体が楽しんでいるのが感じられる。
 
 

@tomohiro_jazzが投稿した動画 -

 
2ndは詞の朗読も織り込みながらの演奏。「Come Rain Come Shine」から、フルートの際立つ「Round Trip」。 
チャーリーヘイデンの「Fist Song」はアビーリンカーン作の歌詞の朗読も素晴らしい。あたたかく優しい、朝に捧げられたようなバラード。
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「Traveling with a Dead Man」は、映画「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」を見終えた後に一気に書き上げたのだそう。
「深い河 Deep River」は大きなゴスペル、この空間にいろんなひとがいる、いろんなところが風が流れる。サックスのソロが沈む夕陽のように偉大に感じられる。
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スタートが押したため、気が付けばノイズの周りの店は閉店時間は過ぎ、漏れ聞こえる音もなくなり、夜の中でこの店だけが呼吸していた。
アンコールは「君の宝物」
ゆうきさんの歌を聴きながら選んでいたとのこと。
 
音楽のつながり、ひとのつながり。
音楽に酔いしれた町田ノイズの夜でした。
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さるびあ亭かーこさんの紙芝居

町田シバヒロではクリスマス期間にメリーゴーランドやイルミネーションがあり、ライブイベントが行われる日も多く、家族連れのみなさんでにぎわっていました。
 
この日は紙芝居師のさるびあ亭かーこさんにお会いしてきました。
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紙芝居を乗せた自転車に、昔から駄菓子屋さんにあるようなおもちゃやお菓子もあります。
「紙芝居始めるよ〜」とカランカランと鐘を鳴らすと子供たちが集まってきます。
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昭和42年の交通安全の紙芝居に所々クイズを織り交ぜながら演じると、子供たちはハイハイ!と元気に手を上げて答えます。クイズのないところでも手を上げたりと夢中になっていました。
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「あ、あぶな〜い!」と場面に合わせて盛り上げたり、次の場面をめくるまで焦らしたり、大人が見ていても楽しくなります。
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クイズに正解するとプレゼントと交換できるコインがもらえます。
みんなの中に入っていくのに照れてしまうコもクイズに答えられるように、見に来てくれたみんなが答えられるように、ひとりひとりを見守ってらっしゃるのがわかります。
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昭和の古い紙芝居、だけど子供たちの楽しむ様子はきっと今も昔も変わらないんだろうな…と思います。
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紙芝居が終わるとみんなに声をかけながらコインと交換のプレゼントがありました。
メリーゴーランドとイルミネーションのあるシバヒロでみんなを楽しませてくれたかーこさんは、ピンクの法被のサンタさんでした。
 
お正月には町田の菅原神社や杉山神社にも登場するそうです。
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浅川太平+Ayuko (まちライブラリー) 2016年7月3日

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町田ノイズ初登場の世田谷トリオの衝撃を受けた翌日、7月3日。
2日続きのライブで体力持つかな?と気になりながら、初めての会場へ。方向音痴なので検索しながら「こっちの駅からバスで、いや本数が少ないのか、でも戻るより、いやバスさっき出たやつだ」と迷いつつ、次のバスを待っていると買ったばかりのクーリッシュがみるみる溶けていく…気が付けばこの気温。
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落ち着いた郊外の街並みを超えてバスが辿り着いた会場。地下のスタジオは照明も綺麗で、ayukoさんによく似合う花も飾られていました。
昨年より中々聴くことができなかったayukoさんの歌声と浅川太平さんのピアノを、ついに。
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1.  Speak Low (クルトワイル作)
アルトサックスのような繊細な空気の振え。久しぶりに聴く声が新たな表現を求めて成長していたことにハッとしました。
2.  Here There And Everywhere (Lennon-McCartney作)
前回出演時にお客様にビートルズ好きな方がいらしたとのことでの選曲。
3.  Afro Blue (モンゴサンタマリア作)
4.  Mack the Knife (クルトワイル作)
ビートルズだけでも満足できそうなところに、アフロブルー、ayukoさんが大きく感じられる表現。つづくマックザナイフは悲恋の映画のようなぎゅっとつかまれるような世界。
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ここで浅川太平さんのピアノソロ。皆さんからお題を頂いての即興。
初めに出た話題は「宇宙」「医者」「髪を切る」。SF的な印象の演奏。
続いては「夏の朝」。
感じられるのは真夏の蒸し暑さよりも高原の清々しい早朝、それはもしかしたら浅川さんが札幌出身だからなのかも。後半ayukoさんの即興が入ると、南の風が吹き始めるようで、おふたりの対比の妙。
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5.  Lost in the Stars (クルトワイル作)
6.  Human Nature
クルトワイルのアパルトヘイトを描いたミュージカルにも使われた宗教的な楽曲。
悩み抜いて落ちた流れ星を手のひらに受け止めるようでした。
きっとMCをはさまずにヒューマンネイチャーへと続けたことそれ自体がメッセージ、ayukoさんの中でマイケルはどれほど大切な存在なんだろうか。
 
声という楽器を奏でるayukoさん。浅川太平さんの鍵盤を離れる際の繊細な指先。
ライブに来れずにいた間に気にしていた題材をいくつも聴くことができた1stセットでした。
 
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2ndは日本語の楽曲。Jazz+Japanese=シャズパニーズ。
1.  電話をするよ
UAのシングルB面の曲。大人になりかけの男の子のための子守唄のような、待っていてくれると思える歌。
20代の頃に何度も聴いたことがあったので、まさかこんなふうに再会するとは、という驚きも。
英詞はなく、北原リエの日本語詞のみ存在するとのこと。「あなたはいつもその手口」という言葉が、後半に向けて変化していくサスペンス的な歌詞。
浅川太平さん曰く、歌詞なしのピアノ表現としては「バドパウエルのが答えみたいなものだね」とのこと。
3.  からたちの花 (北原白秋・作詞、山田耕筰・作曲)
1925年の曲。6つの2行詞で構成された歌詞。
4.  You'd Be So Nice Come to Home
日本語も英語もあり、マウストランペットも。
大橋巨泉・作詞。なかの綾さんが唯一日本語詞で歌っているとのこと。
5.  化粧
中島みゆき作詞作曲。
ないものを求め続けてしまう苦しい苦しいブルース。
6.  マシュケナダ
一転明るくなり、ホッとしました。
 
日本語で歌われることで、音楽だけでは届かない奥の奥の方へと言葉が降りていくようで、2ndからはただただ音をこぼさず受け取れるようにと思っていました。
 
アンコールはリクエストを募り「りんごの木の下で」、途中「Skylark」も。
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終演後、まちライブラリーの懇親会にも参加させて頂き、ayukoさん浅川太平さんともお話することができました。
洋服へのこだわりやフラメンコについて。
ステージではあんなにも大きく見えたayukoさんが隣に座ると子猫のように可愛いのが不思議でした。
 

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「まちライブラリー」という存在を存じ上げなかったのだけれど、ぼんやりと求めていたイメージにヒントをもらえたようでした。
市民図書館のような、自発的な文化的拠点としての活動は、僕の地元の町田のように図書館も美術館もある街でも、ひとのつながりや、価値観を単純化させないための何ができるのかと考える時には重要だと思います。
昨年の11月に町田の酉の市で感じたことのその先があるはずだと思えました。